バターとマーガリンの違いは?健康に良い方と代用できるか紹介
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バター と マーガリン
アツアツのトーストに塗って食べるとおいしいですが、バターとマーガリンの違いって何でしょう?
改めて言われると、はっきりと分からない人は多いものです。
お互いに代用できるのか、どちらが健康に良いのか、気になりますよね。
そこで、バターとマーガリンの違いや、健康への影響、そして代用がきくのかどうかについて探ってみました。
バターとマーガリンの定義
まずは、それぞれの定義を見てみましょう。
バターの定義
バターの定義は、【食品衛生法】という法律が関係しています。その法律に基づいて厚生省大臣が制定した【厚生省令】という命令の中の【乳及び乳製品の成分規格等に関する省令】の第2条および別表に、バターの定義が記されています。
第2条
14 この省令において「バター」とは、生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したものをいう。
引用元:乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
別表
(2) バター
成分規格
乳脂肪分 八〇・〇%以上
水分 一七・〇%以下
大腸菌群 陰性引用元:乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
原料となる牛乳などからバターの粒を取り出し、練り合わせて作られたものを「バター」と言います。上記以外のものは、「バター」と表示することができません。
マーガリンの定義
マーガリンの定義は、【日本農林規格(別名:JAS規格)】の中にある【マーガリン類の日本農林規格】に記されています。
食用油脂(乳脂肪を含まないもの又は乳脂肪を主原料としないものに限る。以下同じ。)に水等を加えて乳化した後、急冷練り合わせをし、又は急冷練り合わせをしないでつくられた可塑性のもの又は流動状のものであって、油脂含有率(食用油脂の製品に占める重量の割合をいう。以下同じ。)が80%以上のものをいう。
引用元:マーガリン類の日本農林規格
食用油脂や水などの原料を混ぜ、練り合わせて作られたものを「マーガリン」と言います。通常、水と油は混ざらないため、乳化剤を加えて乳化させて作ります。
マーガリンは2種類に分けられ、油脂含有率が80%以上が「マーガリン」、80%未満のものは「ファットスプレッド」となります。一般的に家庭用として使われている「コーンソフト」「ラーマ」「ネオソフト」などは油脂含有量が75%未満のため、規格でいうと「ファットスプレッド」になります。
日本農林規格:【農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律】の【日本農林規格の制定(第7条)】に則り、農林水産大臣が制定した規格のことです。
バターとマーガリンの違い
バターとマーガリンの違いをまとめると、このようになります。
バター | マーガリン | |
---|---|---|
主な原材料 | 牛乳 | 植物油 |
油脂分の定義 | 乳脂肪分 80%以上 |
油脂分含有量 80%以上 |
製造法 | 牛乳から得られたバターの粒を練り合わせる | 食用油脂に水などを加えて乳化させる |
形状 | 固めで形状を保ちやすい | やわらかくなめらか |
もともとマーガリンは、高価なバターの代わりとして作られた食品です。かつては「人造バター」と呼ばれていましたが、1952年に「マーガリン」に呼称を改めました。
バターとマーガリンはお互いに代用できるか
バターとマーガリンは、おおむね互いに代用できるようです。
ただし、「同じ食品」ではないため、それぞれの特性に合った方法で代用すると良いでしょう。料理に使用したときの違いをまとめると、このようになります。
◯料理全般に当てはまる内容で比較
バター | マーガリン | |
---|---|---|
風味 | 強い | 弱い |
焼いた時の香り | バターの香り | 芳ばしい香り |
味 | コクのある味 | 軽い口当たり |
料理に混ぜ込むとき | 固く、混ぜにくい | やわらかく、混ぜやすい |
炒め物 | 向いている | 少し油はねする |
◯バター(マーガリン)を使った料理で比較
バター | マーガリン | |
---|---|---|
パン | 折り込むタイプに向く | ふんわり仕上がる |
パウンドケーキ | 風味が強い しっとりする |
あっさり 軽め ふんわりする |
スポンジケーキ | 風味が強い 見た目は同じ |
軽い食感 見た目は同じ |
クッキー・タルト | 風味が強い しっとりする |
サクッと軽い食感 |
バターとマーガリンのどちらにも利点はありますが、どちらが健康に良いのか気になりますよね。
健康に良いのはどっち?
脂肪や油の摂りすぎは、体に悪い影響があると言われています。バターとマーガリンの成分で脂肪や油に該当するのは、「コレステロール」と「トランス脂肪酸」です。
バター | マーガリン | |
---|---|---|
コレステロール | 100gあたり215㎎ | 100gあたり0~5㎎ |
トランス脂肪酸 | 100gあたり3.278g | 100gあたり14.89g |
バターはコレステロールが多く含まれていますが、トランス脂肪酸はほとんど含まれていません。一方、マーガリンはトランス脂肪酸が多く含まれていますが、コレステロールはほとんど含まれていません。
バター > マーガリン
トランス脂肪酸の含有量
バター < マーガリン
コレステロール
コレステロールとは、脂質の一種で、人や動物に必要な栄養素です。人間の体内で作り出される分は全体の80%、食べ物から摂る分が20%と言われています。
コレステロールの摂り過ぎが原因と疑われている体のトラブル
◯動脈硬化
血管が固くなり、血液の流れが悪くなる状態。
◯脂質異常症
血中の脂質の値が異常な状態・血液がドロドロになる。
◯脳梗塞
血管の詰まりなどで血流が滞り、酸素や栄養が行き届かなくなって脳の部分が壊死する状態。
◯狭心症
心臓の表面の冠動脈という血管が細くなって、心筋の血流が滞る状態。
◯心筋梗塞
狭心症が進んで、心筋が壊死した状態。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸とは、油脂に含まれる栄養素の一つです。食品からは取る必要がないとされています。
トランス脂肪酸には、牛肉・羊肉、乳製品など食品に天然に含まれるものと、油脂を加工・精製することによってできるものの2種類あります。現在、健康に悪い影響があるとして注目を集めているのは、加工過程で生成されるトランス脂肪酸です。
トランス脂肪酸の摂り過ぎが原因と疑われている体のトラブル
◯動脈硬化
血管が固くなり、血液の流れが悪くなる状態。
◯脂質異常症
血中の脂質の値が異常な状態・血液がドロドロになる。
◯脳梗塞
血管の詰まりなどで血流が滞り、酸素や栄養が行き届かなくなって脳の部分が壊死する状態。
◯狭心症
心臓の表面の冠動脈という血管が細くなって、心筋の血流が滞る状態。
◯心筋梗塞
狭心症が進んで、心筋が壊死した状態。
◯アトピー・アレルギー疾患
◯ガン
◯不妊
トランス脂肪酸摂取の目安
トランス脂肪酸の摂取目安量は、総エネルギー摂取量の1%未満との勧告があります。これは、国際機関が生活習慣病の予防のために開催した専門家会合(食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合)が公表した内容です。
1%というと、1日2000kcalを食品で摂取するとした場合、トランス脂肪酸の摂取は1日約2g未満に相当します。
ただ、トランス脂肪酸に関する研究の多くは、摂取量の多い欧米人を対象にしたものなので、日本人の体質や生活にすべて当てはまるかどうかは明らかではないようです。
現在の研究では、トランス脂肪酸の方が摂取に慎重な意見が多く、健康に関して問題があるとされる意見が目立ちます。日本でも調査が進められていますが、厚生労働省の定めている「日本人の食事摂取基準(2015)」では、トランス脂肪酸について、目標量の基準は定められていません。
トランス脂肪酸が人体にどれほどの影響を与えるか定かではありませんが、マーガリンよりトランス脂肪酸が少ないバターの方が健康に良いと言えます。しかし、バターを摂取しすぎるのもよくありません。バターにしろマーガリンにしろ、摂取しすぎないよう意識しましょう。
100gあたりの栄養価(参考)
バター | マーガリン | |
---|---|---|
エネルギー | 717 kcal | 717 kcal |
炭水化物 | 0.06 g | 0.7 g |
糖分 | 0.06 g | 0 g |
食物繊維 | 0 g | 0 g |
脂肪 | 81.11 g | 80.71 g |
飽和脂肪酸 | 51.368 g | 15.189 g |
トランス脂肪酸 | 3.278 g | 14.89 g |
一価不飽和脂肪酸 | 21.021 g | 38.877 g |
多価不飽和脂肪酸 | 3.043 g | 24.302 g |
ω-3脂肪酸 | 0.315 g | 1.963 g |
ω-6脂肪酸 | 2.166 g | 0.088 g |
タンパク質 | 0.85 g | 0.16 g |
ビタミンA相当量 | 684 μg | 819 μg |
β-カロテン | 158 μg | 610 μg |
ルテイン ゼアキサンチン |
0 μg | 0 μg |
チアミン(B1) | 0.005 mg | 0.01 mg |
リボフラビン(B2) | 0.034 mg | 0.037 mg |
ナイアシン(B3) | 0.042 mg | 0.023 mg |
パントテン酸(B5) | 0.11 mg | 0 mg |
ビタミンB6 | 0.003 mg | 0.009 mg |
葉酸(B9) | 3 μg | 1 μg |
ビタミンB12 | 0.17 μg | 0.1 μg |
コリン | 18.8 mg | 12.4 mg |
ビタミンC | 0 mg | 0.2 mg |
ビタミンD | 60 IU | 0 IU |
ビタミンE | 2.32 mg | 9 mg |
ビタミンK | 7 μg | 93 μg |
カルシウム | 24 mg | 3 mg |
鉄分 | 0.02 mg | 0.06 mg |
マグネシウム | 2 mg | 3 mg |
マンガン | 0 mg | ー |
セレン | 1 μg | 0 μg |
リン | 24 mg | 5 mg |
カリウム | 24 mg | 18 mg |
ナトリウム | 714 mg | 751 mg |
亜鉛 | 0.09 mg | 0 mg |
水分 | 15.87 g | 16.52 g |
コレステロール | 215 mg | - |
まとめ
以上、バターとマーガリンの違いでした。
バターとマーガリンの違いをまとめると、このようになります。
- 原材料は牛乳
- 風味が良い
- コレステロールが多い
◯マーガリン
- 原材料は油と水と添加物
- 原材料は油と水と添加物
- トランス脂肪酸が多い
健康への配慮が必要な成分とされているのは、コレステロールよりもトランス脂肪酸の方です。ただ、バターにせよマーガリンにせよ、摂りすぎには注意が必要です。どちらが健康的かを考えるよりも、摂取量を減らすことを考えた方が良いでしょう。